最近本屋に行ったら、棚一つ分が「樹木 希林」コーナーでちょっと驚きました。亡くなって(2018年9月15日没)1年になるんですね。演劇人としての樹木希林というより、素敵に老いる、重い病を超越する、その覚悟ある生き方が、いまだに人々の心をとらえているのでしょう。
その樹木 希林さんが晩年に出演した映画「モリのいる場所」。https://www.youtube.com/watch?time_continue=12&v=j60fTJHgnKk
ここでは、樹木希林さんと山崎努さんが夫婦役を演じたこの映画で、夫婦のたいせつな背景となる「家」について見ておきたいと思います。
モリ(画家:熊谷守一)がこよなく愛した庭に面して、実に多くの縁側がある家。開放的すぎるくらいですが、光が降り注ぐだけでなく、風が吹き渡る様子、草いきれまで伝わってきます。
その縁側がとりまく居間に登場人物たちが「ぎゅう詰め」に座って食事をしている光景は、かつて希林さんが出演していたテレビ番組「時間ですよ」や「寺内貫太郎一家」などの大家族ドラマをほうふつとさせますね。
勝手口のある台所。このゴチャゴチャ感に加えて、大きな電子レンジがひとつ居間のちゃぶ台の脇でデーンと存在感を出しているのも微笑ましい。でもこれは実際にそうであった証拠写真もあります。
映画のセットが実に細かいところまで配慮し、撮影の便も含めて計算され、物品が配置されているのか、見えてきます。
実はここに掲載した写真のいくつかは、次に紹介するWEBから転載させていただいています。この撮影セットを作った美術スタッフの話が紹介されているので興味深い。ぜひそちらもどうぞ。
CINEmadori (シネマドリ) | 『モリのいる場所』人も虫も動物も自由に入れるモリの庭と夫婦の古民家
30年間家をできることがなかった画家・熊谷守一が愛した築40年以上の日本家屋と毎日散歩していた緑溢れる庭