右手の押し入れの襖は薄汚れ、寸詰まりのカーテンが窓にぶら下がっていました。畳は陽に焼けて茶色くなり、擦り切れていました。水回りの設備も古めかしい佇まい。
物件は、熱海のはずれ、山の斜面にありました。「六畳・四畳半…」の文言から思い描くイメージどおり古アパートそのものの室内です。
ところが。ところがです。
窓の外は幸い隣のビルの壁ではありません。それどころか、天気は悪かったのに、光があふれているように見えました。
それが並みの物件と「唯一異なる魅力」でした。その大きな魅力に引き寄せられて、リノベーションの旅が始まります。(次の記事へ続く)