またまた浮世絵趣味からの話になりますが。
北斎・廣重でなくても、江戸の昔から多くの浮世絵に描きこまれてきた富士山。
あの山に惚れ、あの山をぐっと身近に引き寄せたいと思う人も大勢いるでしょう。今ならさしずめ望遠レンズで引き寄せるのでしょうが、江戸時代には、なんと富士を身近に「造ってしまった」人たちもありました。富士講という、一種の「富士山信仰」のグループです。
特に目黒の地は高台の上にさらに「富士山」が人口的に作られ、富士山信仰のパワースポットとして有名でした。
廣重の名所江戸百景にも「目黒元不二」や、ここに掲げた「目黒新富士」が描かれています。信仰だけでなく江戸西郊を一望できる眺望観光スポットでもあったのです。
近代に至ってこれらの新富士は壊され跡形もありませんが、あたりには眺望の良さそうな高級マンションが目白押しに建っています。
中目黒付近のタワーマンションは、ミニ富士のあった高台からは少し離れていますが、浮世絵の富士に見立てて写真を撮ってみました。そこからなら本物の富士山の眺めもきっと抜群でしょう。