ガラスの城

建築

「超高層」でもなくても外壁が全面ガラスになっているビルがどんどん増えていますね。見ているだけなら美しいし、中に居る人も大きな窓で眺めを楽しめます。

  

これらのビルは、カーテンウォール工法という技術で建てられています。柱・床・梁が建物の「骨組み」となり、カーテンのように軽い壁は、建物自体の重さを支えていません。

ガラスは重いようでいて、コンクリートなどの壁に比べると圧倒的に軽いのです。

壁が軽ければビルの骨組みもあまり頑丈に作らずに済むし、その分、建築コストが安くなります。もちろん窓ガラスは必要なので壁ごとガラスにすればいい。窓枠がなければガラスのたわみも少ないし、かえって割れにくい。・・・それに入居する側にとっても開放感があり、社会的にも透明性の高い企業イメージが広がる・・・などという理由も重なって流行っているのですね。

しかし、大丈夫?という思いが常に頭にあります。アメリカでハリケーンによってビルのガラスが割れたニュースを見たことがあります。日本で怖いのは地震ですね。割れたガラスの破片が次々に落ちてきたら? 徒歩で移動するにもガラスの破片の上を歩かないといけないし、想像しただけでも怖ろしいことです。

割れにくいという「強化ガラス」でも時には割れ、破片が飛び散ります。ただ断面は丸くなるそうですが、それでも「降って」くれば危ないですよね。また、今は「倍強度ガラス」といって割れても破片が大きく残り落ちにくいものが使われつつあるようです。

それでも実は「熱割れ」という現象が自然に起きることがあります。私の仕事先でも起きましたので調べたことがあります。

実際の熱割れの様子

熱割れ現象 (引用元:AGC Glass Plaza HPより)

窓ガラスのうち日射が直接当たる部分は、吸熱して高温となり膨張します。一方、ガラスの周辺部はサッシに呑み込まれているため日射を受けず、またサッシや躯体くたい への放熱もあり、低温のままになり膨張しません。このため、高温部の熱膨張を周辺部が拘束する状態になります。これをガラス内部の力の状態でいうと、ガラス周辺部に引張応力が発生していることになります。この引張応力(熱応力ともいう)は、直接当たる部分と周辺部との温度差に比例し、ガラスのエッジ強度を超える引張応力が発生するとガラスが破壊します。この現象を一般に熱割れと呼んでいます。(この熱割れは物理現象のため、完全に防ぐことは現状では極めて困難です。)

説明はちょっと難しいですが、ガラスが「よじれて」自然に割れてしまうことはある、ということです。日当りの良い窓際に密着させて白い箱などを置いておくと、日射だけではなく熱も反射して、内と外から熱を受けたガラスが高温になりすぎて熱割れが起きたりします。住む人間のがわも、家具や物の配置には注意しておくことが必要です。

ただし、外装がガラスだけのビルの多くは「窓枠」には固定されていないため、この「よじれ」はガラスの隙間を埋めるシール材の弾力に吸収されるため、熱割れは起こりにくいのも確かです。

安心なようで、絶対安全ではない。難しいところで、いつも上を向いて歩こうというわけにいきませんが、注意するに越したことはないようです。

 

以下はオマケ。私は行ってみたいとは思いませんが(笑)

高さ305m、高層ビルの側面に全面ガラス張りの滑り台が設置される。

建築

たけぞーです。建築好き、写真好きです。
このブログも、両方の要素がクロスすればいいな、と立ち上げました。
たけぞー(takezo)が街を歩きまわるから"take-a-walk"なのです。
現在はビル設備管理の仕事をしつつ、家族が営む不動産事業をサポートしています。

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